コンサル基礎スキルの実践方法:何でも書く
前回はコンサルに必要なスキルを解説しましたが、今回は、それらを実践する方法を紹介します。
前回の記事が大作になったので、今回は軽めの記事にします。ブログはマイペースに書くもんなんやから、ええんや!と自分に甘い僕です。
今回はタイトルの通りなんですが、前回ご紹介した、コンサル基礎スキルを実践する方法をご紹介します。
結論から言うと、その方法とは「何でも書く」ことです。なんだそれだけか、と思われるかも知れませんが、そうです、それだけです笑
では、なぜ「何でも書く」ことでコンサル基礎スキルを実践できるのかご説明します。
目次
「書く」ことの良さ
コンサルはとにかく何でも「書く」
周りのコンサルを見ていても、漏れなく皆が共通して実践しているのが、「書く」ことです。
コンサルと言えば、パワポ資料をひたすら作り、Excelでデータ分析をしているイメージがあります。それはそれで正しいんですが、実はこれらは考えたことを表現する作業でしかなく、その前にしているのが、「書く」ことなんですよね。
- ノートに「書く」
- アイデアツリーに「書く」
- ホワイトボードに「書く」
毎日、事あるごとに何でもすぐ書きます。お客さんが言ったキーワードや何気ない言葉、数字、上司から言われた資料への指摘内容やアドバイスなど、何でもです。
これには、記録する意味もありますが、コンサルにとっては、「書く」=「考える」なんです。
皆さんは仕事中、事あるごとにノートに何か書きますか?PCでの仕事が多いと、あまりノートとペンを使わないという方も多いのではないでしょうか。書くとしても、学んだ知識などを忘れないよう記録する時だけ、という場合も多いのではないかと思います。僕もエンジニアをしていた時、あまり書くことを重要視していなかったですし、「書く」=「記録する」でした。
ちなみにアイデアツリーとは、ツリー状に物事を表現、整理した階層図を簡単に書けるツールです。Windows、Androidで使えます。論理的に物事を整理する場合によく使います。無料でダウンロードできるので、良ければ使ってみてください。
まあ、あくまで整理のためのツールなので、他の技法(マインドマップ)でも手書きでも何でも良いです。
ノートへ「書く」
コンサルになると、概念的・抽象的で、ふわっとした曖昧な事象を扱うことが増えました。どう表現すれば良いのか難しいのですが、概念的なことって頭の中だけでは言葉にしづらく、ふわっとしているので考えが堂々巡りするんですよね。一回考えて、そのあとあれこれ考えていると、気付いたら最初に考えていたことと同じことをもう一度考えている、みたいな感じです。伝わりますかね。とにかく、ふわっとしたことは、考えが頭の中でぐるぐるして、なかなかまとまらないなということに気付きまして。
そんな時に、コンサルの先輩方に、「考えをまとめる時はノートにとりあえず書くと良いよ」と教えていただきました。そんな簡単に考えがまとまったらコンサルなんかいらんやん。と生意気なことを思いながら、半信半疑で試してみたところ、考えが堂々巡りすることがなくなり、割とサクッと考えがまとまり、頭がスッキリしたんですよね。「手書き意外にすごいやん」と感動したのを覚えています。
なぜ考えがまとまったのかを考えてみたのですが、
-
考えの全体感(量、質)を掴んでまとめやすくなる
- 言語化・イメージ化することで、
無理矢理モヤっとした考えを表現せざるを得ない
- 書くと、再度それについて考えなくとも良くなる
- 書くときに、無意識に不要な考えを取捨選択する
が理由かなと。
ここでコンサル基礎スキルの実践に繋がるのですが、書いているときの頭の中は、「論理的思考」や「仮説思考」しているのと同じなんですよね。と言うよりも、論理的に仮説を考えようとすると、頭の中だけで考えるのは限界があって、書かないとなかなか難しいのです。
そして、頭の中が整理されると、後はそれを表現すれば良いので、資料は完成したも同然です。ですので、基礎スキルの1つである「ドキュメンテーションスキル」を半分実践していることにもなるのです。
ノートに書く内容、方法
ノートに書いている内容ですが、以下が多いです。
- 計画(プロジェクト計画、タスク、TO DOなど)
- 仮説(3手先くらいまで。課題、リスクも)
- 問題構造(課題、原因、解決策の関係)
- 資料構成、要点(アジェンダ、ストーリー、ポイント)
共通しているのは、複数のことを考えなければならなかったり、複雑だったりすることです。頭の中だけで考えていると、余計に時間がかかるものでもあります。
書き方ですが、とりあえずノートを開いてペンを持ちます。(当たり前)そして、がーっと直感で、最初はあまり深く考えずとにかく頭の中に浮かんでいることをそのまま勢いで書きます。自分が読めれば良いので、汚くてももちろんOKです。「直感で」「深く考えず」「そのまま勢いで」というのがポイントと思っています。なぜかと言うと、頭の中がスッキリしますし、割と直感で出てきた考えは、良いところを突いていることが多いからです。書くことで頭の中を空っぽにするイメージです。
もちろんノートは何でも良いですし、(むしろ安いノートの方が気兼ねなく書けて良いかも)ペンも安いので良いです。
ただ、考えを書く場合は、タブレットのような電子デバイスよりは、紙のノートの方が良いそうです。(メンタリストDaiGo氏がYoutubeで言っていましたが、そう言う研究結果があるそうです。)
そして重要なのは、勢いで書いてそのまま終わるのではなく、書いたことの関係性を整理し構造化したり、イメージ化したりすることです。これが普通のメモとは違う、コンサル独特の書き方です。この最後の一手間で、論理的に頭の中を整理でき、考えがとても分かりやすくなります。料理で言う味付けみたいなものですね。
皆さんも今日から騙されたと思ってやってみて下さい。良い考えが生まれるかも知れませんし、頭の中がスッキリしますよ。もちろん、この記事の構成やポイントも前もってノートに書いてます。
ホワイトボードへ「書く」
会議中にも「書く」ことは大活躍します。会議はたくさんの参加者がいるので、議論が発散しがちです。各々、好きなことや気になったことを自由に発言し、その発言に引きづられ、どんどん本筋とは関係無い方に話が進んでいくことがままあります。結論の納得感を高める上で重要だったりするので、一度議論が発散すること自体は良いことなのですが、とは言え時間内に結論を出す必要があります。そんな時、「書く」ことの出番です。書く対象は、ホワイトボードです。
ホワイトボードに書く内容、方法
ホワイトボードには、
- キーワード
- 数字
- 発言をイメージ化したもの
を書きます。
ポイントは、一旦、自分の解釈を入れず、発言者が言ったことをそのまま書く、表現することです。
これにより、
- 発言を確実に残すことで発言者が安心する
- 書くものに全員の注意が向くので、自然と認識を合わせることができる
- 共通認識したキーワードをベースに、議論を進められる
- キーワードが残っているので、発散した時に、それまで議論していた内容にすぐに戻ってくることができる
という効果があります。
書こうとすると注目を集める分、最初は実践に緊張するかも知れませんが、やることはそのまま書くだけでシンプルなので、少しの勇気を振り絞って試してみて下さい。
そしてこれが、基礎スキルである「ファシリテーションスキル」を実践する1つの方法です。ホワイトボードに書くことで、簡単に参加者全員の認識を合わせ、建設的な議論を行うことができるので、効率的に会議を進めることができます。
まとめ
以上、コンサル基礎スキルの実践方法として、ノート、アイデアツリー、ホワイトボードに「書く」方法をご紹介しました。
仕事で、もちろんプライベートでも、頭がもやもやしていたり、悩み事を考え始めて頭の中がぐるぐるしたりした時は、ノートを開いて頭の中を掃き出すイメージで書いてみて下さい。更に、構造化したり、イメージ化したりすると、言いたかったのはこういうことか、と頭がスッキリします。コンサルは、意外に地道にこうして論理的な仮説を考えています。
また、会議でなかなか話がまとまらない時は、ホワイトボードに誰かの発言内容をそのまま書いてみて下さい。皆がそこに注目するので認識が共通になり、それを起点に議論を進めることができるので、建設的な会話になりやすく、話をまとめやすくなります。コンサルは、ファシリテーションの時によくやっています。
今回は以上です。
次回は、ドキュメンテーションスキルの実践方法について、ご紹介したいと思います。