ゆるふわコンサルタントの日常

設計エンジニアから業務コンサルタントに転職、その経験談や仕事術を綴ります。

ドキュメンテーションスキル実践方法

業務コンサルタントのT(@T14764)です。

 

前回はコンサル基礎スキル4つのうち、「論理的思考」「仮説思考」「ファシリテーションスキル」の実践方法を紹介しました。

 

t14764.hatenablog.com

 

今回は残り1つの「ドキュメンテーションスキル」(=「資料作成スキル」)の実践方法について解説します。

資料を見た人が理解しやすい資料を作るにはどうすれば良いか、についてです。

コンサル以外の方にも役立つ内容ではないかと思います。

 

目次

 

実践テクニック

早速、ドキュメンテーションスキルの具体的な実践テクニックについて紹介していきます。

 

資料構成

まずは資料構成に関するものです。

資料構成は、スライド1枚1枚をどう書くかよりも大事です。なぜなら、人は全体の話の流れで理解するからです。構成が理解しやすければ、多少各スライドが見づらくとも、伝えたいメッセージは伝わるものです。

 

1. 目的を決める

全体構成を考える上で最も重要なのは、その資料の目的を決めることです。

そもそも、パワポによるプレゼンの目的は、誰かに動いてもらうことです。

ということは、目的としては考えるべきは、誰に何をしてもらえば良いのか、を明確にすることです。 

具体的には、

  • 実務担当者に行動アイデアを提示し、議論を通じて今後の行動を決める
  • プロジェクト管理者にリスクを提言し、回避する対策を打ってもらう
  • 予算責任者に必要な予算額を提示し、予算を確保してもらう

などです。

 

そもそもの目的を考えないと、資料全体の流れがブレブレになり、何が言いたいのか分からなくなります。

せっかく行動を起こしてもらうための情報は揃っているのに、伝え方が悪いばかりに結果に繋がらないのは、とても勿体無いですよね。

ただ、「目的を考えろ」とはよく言われるものの、いざ資料作成しようとした時に意外と忘れがちです。

期限も迫っているし、早く作らないといけない、時間が無いと焦っている状態で作り始めるのが大半だからです。

ですので、オススメは、パワポを開いたら取り敢えず「目的」タイトルの空白ページを作る癖をつけることです。

5秒でできて、効果は大きいので、試してみて下さい。

 

2. 目次を決める

次に、目的を決めます。

いきなりスライド1枚1枚を作り始めるのではなく、目的を念頭に置きながら、それを達成できる目次を考えます。

目次を考えることで、自ずと資料全体の構成を考えることになります。

この時、前回紹介したアイデアツリーを使ったり、ノートに書いたりして構造的に考えると、全体感を把握しながら、漏れなく、論理的な構成を考えられます。

 

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本を読むときなども、目次から読み始めると、どんなことが書いてあるのか想像でき、ざっくり理解できますよね。それと同じです。

熟練したコンサルになると、若手コンサルの資料をレビューするとき、目次を見ただけで、どんな資料を作ってきたのか分かります。

自分の考えと合っていた場合は「後は任せた」と言われレビューが終わりになることもあります。逆に自分の考えと違っていた場合は、即作り直しを命じられます^^;

そのくらい目次は資料全体にとって大事です。ですので、手戻りを無くすために、若手コンサルはまず、目次をレビューしてもらう習慣がついています。

 

 

3. 全体→詳細

目次を考える際にも参考となる考え方が「全体→詳細」の考え方です。

構成を考えるときは、「まず全体像を示し、その中のここの話をする」という流れにすると、すっと頭に入るものになります。

例えば、

  • 資料構成はこうなっていて、今からここの話をします
  • 業務全体の流れはこうなっていて、この業務の話をします
  • 課題と解決策は全部でこれだけあって、まずはこの課題から説明します

というような流れで構成すると、分かりやすくなります。

これは資料作成に限らない考え方です。

例えば、海外旅行で初めての土地に降り立ったときに、地図も見ずにいきなり目的地に向かうと、自分がどこにいるのかよく分からず、途中で迷ってしまう確率が上がります。目的地に向かう前に、自分が今どこにいるのか、目的地はどこにあるのか、そこまでの距離はどのくらいか、が分かれば、迷う確率は格段に減りますよね。それと同じです。

 

4. 自然な流れで書く

すっと頭に入る自然な資料にするためには、自然な流れで書くようにします。時系列順は分かりやすい例です。前回の振り返り(過去)→今日の実施内容(現在)→今後やること(未来)という流れで作れば良いということです。

他に、考え方・コンセプト→具体例→結論、という流れで書くこともよくあります。いきなり具体例を書いても、なぜ具体例を書いているのか分からないですし、それに引きずられて詳細の話に入っていってしまう事もあります。なので、まずは考え方やコンセプトを示し、その具体例がこれです、と言うと、具体例の意味合いが明確になりますし、考え方の方が大事なんだ、ということを伝えられます。

そして最後に結論を書いて、言いたかったことを明確にします。

 

5. ストーリー(前後の繋がり)

自然な流れで書くことの一環かも知れませんが、全体が1つのストーリーとなるよう、各スライド間の繋がりを意識して作成します。無用な混乱を避けるために、各スライドに唐突感が無いようにする、ということです。

よくやるのは、話が変わるタイミングで扉絵スライドを入れたり、前ページスライドの最後に「次ページでは〇〇について示す」のように、予告を入れたりする方法です。このちょっとの工夫で、理解しやすさが全然違ってきます。

 

 

各スライド

ここからは、スライド1枚1枚について、作成するときに意識していることを紹介します。

 

1. 伝えたいメッセージを考える

まず、各スライドで伝えたいメッセージを考えます。資料構成の場合と同様、いきなり作成し始めるのはご法度です。繰り返しになりますが、ドキュメンテーションの目的は、資料を作成することではなく、資料を見せる相手に行動してもらうことです。ですので、「どう作るか」よりも先に「何を伝えるべきか」を考えることがとても重要です。

各スライドごとに、何が言いたいのか?言うべきか?を考えていきます。メッセージありきで作ると、資料を見た人もすぐに理解できるものになります。コンサルの資料では、見る人の脳に負担をかけさせないことが大切になります。

スライドを作りながら伝えたいメッセージが変わることもあるので、作成作業に入った後に、メッセージを見直すこともあります。もうお気付きかも知れませんが、資料作成時、実際にパワポをいじるのは一番最後になります。パワポを焦らしてあげましょう笑

 

2. 1スライド1メッセージ

1スライドは1メッセージにします。資料作成術の本にもよく書いてあります。これもつまるところ、何が言いたいのか、を明確にするためです。1スライドに言いたいことが複数あると、読む人が混乱します。ですので、複数あることが分かった場合は、スライドを分けます。このとき必要なのは、一度作ったスライドを分ける勇気を持つことです笑

 

3. タイトル、キーメッセージ、イメージ

各スライドは、タイトル、キーメッセージ、イメージの構成で書きます。どのコンサルの資料を見ても、基本的にはそうなっています。「タイトル」があって、その下にそのスライドで言いたい「キーメッセージ」、そしてその下にキーメッセージを補足する「イメージ」という構成です。1スライド1メッセージを徹底しているから、この構成で書けます。

一般的なパワポ資料は、こうなっていないものがほとんどです。キーメッセージだけ書いていて補足イメージが無いため分かりづらかったり、反対に補足イメージやグラフだけ載せていて、何を言いたいのか分からなかったりします。(エンジニアだった頃の僕もそうでした^^;)

 

 

4. シンプルに

シンプルに書くことも意識します。対象は、資料構成、メッセージ、文章表現、イメージ、色使いなど全てです。ですが、シンプルに書くことは簡単に見えてとても難しいです。

シンプルに書くとは、何かを理由も無く省略することでなく、幹と枝葉をきっちりと見極めること、枝葉をバッサリと切り捨てること、だからです。幹と枝葉を見極めるには、しっかりと論理的に考えないといけませんし、未来にどう影響があるのか、を考えないといけません。切り捨てるには、結構勇気が要ります。漏れることの不安から、あれもこれも書きたくなります。

ですが、それは「他者視点」ではなく「自分視点」で考えてしまっている証拠です。「自分」が不安だから、何でも書いてしまうのです。「相手」に必要かどうか、で判断する必要があります。

 

 

5. 提案、提言

コンサルの資料なので、「提案」「提言」を入れます。これは一般的な資料と大きく違うところです。提案なので、相手に、「こうした方が良いのではないかと思います。その理由は、〇〇です。」と伝えるということです。相手もそれを求めています。

ただ単に、現状分析の結果こうでした、や、前回こういうこと議論したので次回はこういうことを議論します、ということを言っているだけの資料ではダメだということです。 相手の「だから何?」に答える必要があります。

 

 

まとめ

以上、まとめます。

  • 資料作成までに、目的、目次、伝えたいメッセージを考える
  • 資料は、見た人がすぐに理解できるような流れ、表現で書く
    (全体→詳細、ストーリー、1スライド1メッセージなど)
  • コンサルの資料には、「提案」「提言」が必要

もちろん、これら以外にも、色使いや図形の配置など、より細かなテクニックもありますが、それは専門書に譲ります。例えば、以前の記事でもご紹介しましたが、こちらなど、本を何冊か読めば必要なテクニックはおおよそ学べます。

 

 

そして何よりも重要なのは実践です。本を読むと分かった気になってしまいがちですので、とにかく手を動かしていきましょう。(自戒を込めて) 

今回ご紹介した実践方法は、パワポ以外にももちろん使えますし。(ブログや論文など)また、人に何かを伝えるという意味では、日常会話でも使えます。

それでは、今回はここまでです。

ここ2回の記事で、コンサルで必要なスキルと実践方法については解説したので、次回は、元設計エンジニアだった僕がコンサルに転職したときに基礎スキル実践で苦労した点を共有しようと思います。コンサルになりたい方、コンサル初心者の方には参考になるのではないかと思います。

では、また次回。