あまり知られていないコンサルの存在価値
前回、コンサルの存在価値について、自身の経験を踏まえて考えてみました。
今日はその番外編的な位置付けです。前回ご紹介した通り、「他社に詳しい」「理想像を知っている」「会社全体の現状を知っている」という価値は割と想像できるかも知れませんが、今回は実際に経験してみないと分からないはずのものになります。
目次
当たり前と思われていることのイメージ化
1つ目は、当たり前だったり、あるいはお客さんの中でふわっと頭の中にありそうなことをイメージ化することです。そうすることで、見た人皆で認識を合わせることができます。暗黙知の形式知化、と言っても良いです。
当たり前と思われていることとは例えば、現在のプロジェクトが置かれている状況だったり、プロジェクトを進めていくための重要なポイントだったりです。これらはお客さんの頭の中に何となくあるものの、当たり前過ぎて皆同じ認識だよね、と思って(時として、思い込んで)しまっているものです。こういう暗黙知的なものほど、詳しく話を聞いていくと、人によって少しずつ考えていたことが違っていた、ということがよくあります。
当たり前と思われていることをあえてわざわざイメージ化することで、そういった認識ズレを防ぐことができます。考えがズレていなくとも、文書として残しておくことができるので、後から振り返ることもできます。「そうそう、そういうこと!」と納得感の向上にも繋がります。また、皆で同じ方向を向くことができるので、プロジェクトをスムーズに進めやすくなります。
言いづらいことの代弁者
お客さんの中で、他部署に物申したい、もしくは経営者に物申したい、という場合もコンサルは便利な存在です。直接言うと角が立つからとか、相手が元上司で言いにくいからとか、あるいは客観的な立場の人から言ってもらった方が説得力が増すから、などの理由で、コンサルからの提言という形で依頼部門の言いたいことを代弁します。
コンサルは第三者であり、基本的に依頼部門以外の方とは利害関係が無いので、純粋に論理的に正しいことを言えます。ただし、そうは言ってももちろん正論を振りかざすだけではダメで、相手の感情への配慮が必要です。でないと、聞いてもらえるものも聞いてもらえなくなりますので。(話が逸れますが、人間の脳の構造上、感情を司る大脳辺縁系は、理性を司る大脳新皮質よりも深層にあり、より古くからあるものなので、感情>理性となるそうです。)
また、政治的なことも把握はすれど踏み込んではいけない、という行動指針があるので、そこも考慮して発言します。
そこにコストをかけて良いのかは置いておいて、意外と重宝される役割です。
良き理解者
3つ目は良き理解者であるということです。コンサルは、バシバシ自分の意見を主張していくイメージがあるかも知れませんが、少なくとも僕の周りにはそう言った方はおらず、聞くこと7割、話すこと3割くらいの聞き役に廻る方が多いです。なぜそうなのかと言うと、自分の意見を聞いてもらうためにはまず、お客さんの信頼を得ることが大事なためです。そのためには、まずは傾聴することが重要です。これは別にコンサルや仕事に限らず、プライベートでもそうですよね。
聞くだけなら社内の人でもできるのではと思われるかも知れませんが、もちろんコンサルという立場やスキルを使って、コンサルにしか出来ないことをします。それは何かと言うと、「何を言っても人事に影響が無い立場」「自分の言いたいことをうまく要約してくれること」です。平たく言うと、悩みや愚痴を聞いてくれて、自分のことを理解してくれるという役割です。前述のように、コンサルは第三者ですので、お客さんが社内の誰かの愚痴を言ったとしても人事評価に影響無いです。また、コンサルは話をまとめてくれるので、取り留めの無い話をしたとしても何が言いたかったのかを明確にしてくれます。コンサルでないと出来ないことです。
最後に、コンサルティングという言葉の語源を紹介します。(最近ハマっています。)コンサルティングを英語で書くと、consultingです。語源は、con(共に)+sult(座る)+ing(こと)だそうです。つまり、consulting=共に座ること=相談に乗ること、という意味です。語源を考えると、良き理解者という役回りが価値であることは、実は当たり前と言えば当たり前かも知れません。
まとめ
以上、あまり知られていないコンサルの存在価値として、以下3つをご紹介しました。
- 当たり前と思われていることのイメージ化
- 言いづらいことの代弁者
- 良き理解者
今回の3つは、「そうそう、言ってほしかったのはそういうこと!」だったり、「いつも私の考えを分かってもらえるので助かります。」だったりと、お客さんから直接フィードバックを頂いて気付いたものです。
思いも寄らないところにお客さんは価値を感じてくれるんだ、という驚きがありました。コンサル自身よりもお客さんの方が実はコンサルのことを分かっているのかも知れないなと思わされました。と同時に、もっとお客さんのことをよく観察し、より一層お客さん目線で考えないといけないなと、身のつまされる想いがしました。日々謙虚に精進しないとですね。
以上、前回から2回に渡ってコンサルの存在価値について考えてみました。2回でご紹介した通り、コンサルは、そこに課題がある限り、その解決支援のためならカメレオンのように役割を変えています。
今後さらに経験を積む中で、驚きとともにまた新たな存在価値が見つかる気がするので、その時はまた続編として書こうと思います。
ではまた次回。