【IoT】第4次産業革命と日本の課題
今回は製造業界の最新動向について紹介、考察します。読者は、製造業に関わられている方や、世の中の最新動向に興味がある方を想定しています。
製造業界ではここ数年、「IoT」や「デジタルトランスフォーメーション」というバズワードとともに「インダストリー4.0」という概念が徐々に流行ってきています。どこかで一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
「インダストリー4.0」とは、日本語でいうと「第4次産業革命」と訳します。この「インダストリー4.0」について解説された本「小説 第4次産業革命 日本の製造業を救え!」(2019/4/18発売、藤野直明・梶野真弘著)を引き合いに出しながら、この概念や日本の製造業の課題について考えます。
(最近この本を読んだので、このブログが自身の考えを深めるきっかけになればというのもあります)
目次
第4次産業革命とは
定義
まずは、インダストリー4.0=第4次産業革命とは何ぞや、ですが、本書では以下と定義しています。
サイバー・フィジカル・システム(CPS)により製造業のサービス化を加速するための産業政策としての国際標準化活動
これは、ドイツで2011年に提唱されたコンセプトです。
冒頭に出てくる”サイバー・フィジカル・システム(CPS)”でつまづくと思うのですが、これは「工場設備をネットワークに接続し、製造データを分析できるようにした状態」を意味しています。「IoT」=「モノのインターネット」を製造業に適用し、工場設備にネットワーク機器を接続して製造データをネット上に吸い上げ、それを元に設備の停止や故障を未然に予知して予防したり、製品設計にフィードバックしたりするためのシステムです。
この定義を見て、個人的に「新しくてワクワクするな」と思ったのは、”製造業のサービス化”という言葉です。製造業とは文字通り「ものを製造する業界」ですが、それをサービス化するというのは新しい発想です。製造業のサービス化なので、ものを作ることそのものをお客さんに提供するということです。とても将来性や成長性を感じるコンセプトだと感じました。
”産業政策としての国際標準化活動”というのは、とても大きな話です。一企業や一国の政策では完結せず、国際的に協力しながら活動することを目指しているということです。確かに「産業革命」というくらいですから、世界規模で産業が変わる必要があるでしょう。何を「標準化」するのか、ですが、物を作る手順である「製造工程」や、設備から収集する「データ形式」、「通信方式」などです。これらを国際的に標準化することで初めて、グローバルな”製造業のサービス化”が実現できるということです。
概要
「インダストリー4.0」について、本書を引用する形でもう少し詳しく紹介します。
グローバルなエコシステムを人工的に形成する
これはインダストリー4.0の狙いの一つでもあるのだが、グローバルな産業エコシステムをオープンイノベーションで構築できる仕組みにして、産業の進化をスピードアップさせようということだ。
具体的には、業種の枠を超えて要素技術を活用できるようにすること。
世界中で行き場を失っている巨大なマネー、特にベンチャーキャピタルやファンドなどのリスクマネーを技術開発に取り入れやすい仕組みを構築しようということだ。
日本のほとんどの製造業関係者(以前の僕も含め)で、上記を理解している方は恐らくごく少数だと思います。「そんな意図があったとは全然知らんかった」というのが僕の最初の感想でした。
これは例えば、過去PC業界で起こった変化と同様と考えられます。垂直統合から水平分業型に代わり、CPUはインテル、OSはMicrosoft、ハードウェアはDELLなど、それぞれの要素技術に強みを持つメーカーが、PC業界内で人工的にエコシステムを形成しました。それと同様のことを、製造業全体で起こそうというのが「インダストリー4.0」なのだと理解しています。
スマート工場の実現
「インダストリー4.0」の中でも最近話題になっているのが「スマート工場」というコンセプトです。以下、その考え方を抜粋します。
(1)海外に新工場を設立する際 、製品や部品表 、加工工程や設備を既知としてどんなレイアウトで 、どんな設備の製造ラインで 、何秒で製造できるか ?設備投資 、価格 、現場の作業員の数をどう設計できるか ?設計の基礎的な数字や考え方が組織的に整理されているか ?
(2)もし急に来年から月間二万個の部品を供給してほしいと言われたとすると 、ラインの設備設計や設備投資の投資規模などを短期間で見積もりを取れるか ?
(3)実際に完成した工場の運営が当初の設計の目論見と異なっていた場合 、何が設計時の想定と違うのか 、どこを改善すれば工場全体のパフォ ーマンスを向上させることができるのか ?
(4)品質問題が発生したとき 、品質管理プロセスのどこを変えることが適当か 、そのとき 、標準原価はどれだけ増加するか ?
「Q C D全体のバランスをみて 、こうしたことを可能にするのが製造の統合管理 、またサイバ ー ・フィジカル ・システム ( C P S )の発想だ 。これがスマ ートな工場 、スマ ート ・ファクトリ ーだよ 。」
抜粋が長くなりましたが、要するに「スマート工場」=「変化に対し、生産準備や原価見積、品質改善をすぐに行える工場」ということです。そのための仕組みを構築する上で、設計や製造情報のシステム化が必要になります。
まとめ)「インダストリー4.0」とは?
「インダストリー4.0」の概要について、何となく理解いただけたでしょうか。頑張って要約すると、「各社の得意な要素技術を持ち寄ってエコシステムを形成した上で、自社工場をスマート工場化することで、グローバルにサービスを提供すること」といった感じでしょうか。
日本の製造業の課題について考察
ここからは、「インダストリー4.0」を日本に適用する際の課題を考えてみます。
生産技術のシステム化
生産技術のシステム化にまず課題があると考えています。その理由ですが、以下2つと考えています。
現場のベテランの持つ暗黙知とは例えば、僕の経験していた通信機器でいうと、「製品のここを物理的に少し調整すれば性能が良くなる」みたいな知識のことです。これを言語化するのがなぜ難しいかというと、多分に感覚的なものだからです。つまり、ベテランになぜ良くなるのかと確認したところで、何となくの理由は引き出せますが、それを科学的に検証することができないのです。もしできていれば、既に設計に反映しているはずですから。
また仮に形式知化ができるとしても、やりたくないと反発が起こると思います。なぜなら、ベテランがそれまでの経験で身に付けたノウハウを全て公開することになり、自身の強みが無くなってしまうからです。ベテランが管理職でない限り、そのノウハウが周囲から頼りにされている訳ですから。
ただ実際には、形式知化してもベテランの方の強みが無くなる訳ではなく、品質改善のために製造設備へその知見を継続的に反映したり、後継者育成に活かしたりできるので、誤解である訳ですが。
中小企業における改革リソース確保
この小説の主人公は、中小企業の社長です。中小企業ではありますが、「スマート工場」を実現するために、形式知化や品質管理プロセスの見える化、様々な業務システムの導入などを行っていきます。こうして挙げるだけでも分かりますが、これらをやりきろうとすると、とても手間と時間がかかります。
この本はフィクションなので最後まで実行し切っていましたが、そこに至るまでの課題については何も語られていません。
現実では、大半の中小企業は人手不足です。このボリュームの改革を実行するリソースを確保することも大きな課題の1つと考えています。今ある社内リソースだけでは恐らく不可能でしょう。
解決策としては、コンセプトをしっかり理解した上で仮説検証をしっかり行い、お金で時間を買う発想で、外部の専門家を活用して一気にやり切る。そして数年後に効果を出して投資を回収する、という考えで、赤字覚悟の先行投資をするしか無い気がします。そのためにはやはり、コンセプトをしっかりと理解する必要があります。この小説でも、当初社長がコンセプトや重要性を理解していなかったため、なぜ今やる必要があるのか認識できていない状態でした。理想状態が分からないから、危機感に気付かなかった訳です。
この例に限らず、自身の課題に気付けるというのはすごく大事ですが、難しいことです。
疑問点
ここからは、課題というよりは、コンセプトについて個人的に疑問を感じた点についてです。
過去の産業革命に匹敵するのか?
「インダストリー4.0」=「第4次産業革命」ですが、僕が最初にこの本を読んで持った感想は、「なかなかすごいけど、コンセプト分かりにくいな」でした。
過去の産業革命を考えてみると、蒸気機関による工業化の「第1次産業革命」、電力による工業化の「第2次産業革命」、コンピューターによる自動化の「第3産業革命」と、どれもコンセプトが明快で覚えやすいです。ところが「第4次産業革命」はどうでしょうか。冒頭でご紹介したコンセプト、覚えていますか?もう忘れてません笑?
前述の通り、第4次産業革命を実現するには、まずはコンセプトを理解することからです。ですがそもそものコンセプトが分かりづらいので、本当に世界中に浸透するのか、疑問が残ります。(ドイツさん、すみません)
また、範囲が製造業に限られていることも気になります。産業革命と言うからには、あらゆる産業ががらっと変わるはずです。でも実際にはそうではないです。じゃあなぜ提唱者のドイツはそう表現するのでしょうか?何かそう言いたい思惑があるのでしょうか。
これはジャストアイデアですが、ドイツは製造業が国の産業の中心です。ということは、製造業全体の市場規模が大きくなると、その分ドイツにとっても美味しい訳です。つまり、第4次産業革命という製造業限定のコンセプトを全世界に発信することで、世界中の製造業市場を大きくし、自国の利益を増やしたいのではないか、というのが僕の乱暴な仮説です笑。
あと実は同様のコンセプトをアメリカや日本も掲げています。(アメリカは製造業に閉じていなかったりしますが。)そんな状況の中でドイツがこのコンセプトを提唱し各国に協力を求めているということは、ドイツが世界経済の中心になりたいのではないか、というのがもう一つの仮説です。
OEM(製造外注)との違いは?
冒頭に紹介した定義の中で、「インダストリー4.0」は「製造業のサービス化」を目指した活動、と書きました。「製造業のサービス化」とは、ものを作ること自体をサービスとして提供する、ということです。
ですが、ふと考えると、これまでのOEM(製造外注)と何が違うんでしょうか?OEMは正に、ものを作ること自体をサービスとして提供するビジネスです。ただ単に僕が「インダストリー4.0」のいう「製造業のサービス化」を誤解しているだけなのでしょうか。
本の中ではそこについては触れられていませんでした。違いがあるとすると、「サービスの柔軟性、スピード」かなと思います。どういうことかと言うと、「インダストリー4.0」が目指す世界は、例えば需要が急増して工場の供給力を上回った場合、その工場の製造ラインをそのまま海外の工場にコピペし、一時的なラインとして即増設できることです。これは、生産技術をシステム化しているため実現できることです。この柔軟性、スピード感が違う、ということであれば、確かにそうです。
もしそうだとすると、これもまた分かりやすさポイントが-1されますね。(ドイツさん、本当にすみません。)
以上、インダストリー4.0の概要と、それについて製造業界にいる僕が思うことをつらつらと書いてみました。長くなりました。そして少し硬めの内容でしたね。恐縮です。
ちなみに、ご紹介した本はとても分かりやすくまとめられていて、また小説調で読みやすいのでオススメです。著者は僕と同様、製造業のコンサルをずっとやられている方ですので、業界の知見も豊富で技術にも精通されています。(僕は著者とは直接関係無いです。念のため。)
次回はもう少しカジュアルに、コンサルに寄せた内容を書くつもりですので、引き続きよろしくお願いします。
では、また次回。
コンサルはお客さんの悩みを知っておくことが大事!エンジニアの悩みとは?
コンサルタントは、お客さんの悩みを理解しておくことがお客さんからの信頼に繋がります。業務コンサルの僕の場合、そのお客さんとは設計エンジニアです。
幸い、僕は前職で設計エンジニアをやっていたので、悩みは誰よりも理解しているつもりです。しかし一般的には、エンジニアが何をやっているのか、また何が大変なのか謎が多いと思います。図面を書いているイメージはあるかも知れませんが、大変さはやったことがないし、よく分からないというのが一般的だと思います。
そこで今回は、設計エンジニアの仕事イメージをお伝えしつつ、僕が実感した仕事での大変さを解説します。単純に「へぇ、知らなかった。勉強になった」と思っていただくことも本記事の目的の1つですが、コンサルとして、お客さんの仕事の大変さをこのくらい具体的に知っておきたい、というレベルの一例にもなるのではというのがもう一つの趣旨であり目的です。
ちなみに設計エンジニアの業務概要は、過去に仕事紹介記事の中で書いたので、そちらを参考にしていただければと思います。今回はもう少し具体的な話をしますので。
ちょっと理系的でマニアックな内容も混ざっていますが、出来るだけ分かりやすい形で書いたつもりです。肩肘張らずに「へぇ、そうなんや。」くらいの気持ちで読んでいただければと思います。
あと、最後に嬉しいお知らせもあります。今回は盛り沢山です。
目次
エンジニアの大変さについて
1. 求められる品質レベルが高い
エンジニアは「技術仕様」という数字目標を達成することが存在意義です。そうなると当然、数字を正確に扱う必要があります。
特に重要な仕様となると、ゼロコンマいくつのレベルで数字を追い込む必要があります。往々にして出せる性能のギリギリの数字が目標になっていることが多く、そのあとちょっとの差を詰めるのに、非常に時間がかかります。数字は誤魔化しが効きません。
エンジニアの方であればこの感覚を分かっていただけるものと思いますが、そうでない方からすると、なぜそんな時間がかかるのか、その仕様になぜそんなに拘っているのかが分かりづらいものです。これは、重要度の基準が異なるためです。その結果、エンジニアでない方がメーカーの経営者になると、技術仕様を満たさない製品が世に出るリスクが高くなります。(もちろん全ての経営者がそうではないです。)
実際、最近ちょくちょくニュースになりますが、様々な工場で品質管理が甘く、無資格検査員による検査をしていることが発覚し問題になっています。これも、その会社の数字に対する拘りが薄いことが関係していると考えています。(もちろん、要因はそれ以外にもありますが。)「ちゃんと検査せずとも品質良いし、バレなければ問題無いっしょ。ちょっとぐらい仕様を満たさずとも、問題無いっしょ」の精神だったのだと想像します。
また、うっかりして間違った数字を仕様書など公的な文書に記載してしまうと、それがそのまま製品として世に出てしまうこともあります。もちろんそうならないように、エンジニアのセルフレビューや、しっかりしたダブルチェックプロセスを確立する義務がありますが、それでも人間の手で設計している以上ゼロにはできません。
このようなリスクが高いので、エンジニアは、正確な仕事をすることがとても重要になりますし、そういう方々の集まりであるということです。
2. 時間との戦いになる
どんな仕事でも、時間は最も重要な資源で、不足しがちなものです。
中でもエンジニア(特に初心者)は、予測不能なトラブルに見舞われることがままあります。そうなっても基本的に納期は変わらないので、どうなるかと言うと、急にあたふたしないといけなくなります笑。
トラブルとは、工場での製品製造中に発生する故障や、技術仕様未達などです。トラブル発生時は、大量生産している場合特にですが、他製品への影響を最小限にするため、解決するまで全ての製品の製造を止めることが一般的です。つまり、もし納期までに余裕が無い場合、解決に時間がかかってしまうと、その時間がそのまま納期遅延になってしまうのです。
このシビアな状況の中で、自分の作業がダイレクトに納期へ影響してしまう職種は、エンジニアを置いて他に思い浮かびません。
また、できるエンジニアほど、数々のプロジェクトや製品を同時並行的に手掛けていることが多いです。必ずや何かしらのトラブル対応に追われている、と言っても過言では無いでしょう。(どんなに優秀なエンジニアであっても、人間ですので、トラブルをゼロにするのは不可能です。)
3. 五感で感じられないものを扱う(場合もある)
僕は前職で、無線通信機器の設計をやっていました。無線通信機器とは、スマホやwi-fiルーターのようなものを想像して下さい。これらは五感では感じられない「電波」を扱う機器です。
考えるに、五感で感じられないものって世の中にそんなに無く、電波はかなり特殊なものだと思います。他にあるんですかね、思い浮かばないです。
それを扱わないといけない時点で、この後の説明を読まずとも、大変さを分かっていただけるでしょうか笑。
マニアックですが、もう少し詳細を説明します。無線通信機器設計では、どんな電波が飛ぶのか想像する必要があります。想像の世界という意味では、それはもはやファンタジーです笑。具体的には、いかに電波の強さを適切にし、綺麗な通信ができるような電波の通り道にするかを考えます。渋滞を起こさず、出来るだけスムーズに車が流れるように、高速道路の形を設計するようなイメージです。
高速道路だったら分かりやすいのですが、電波は目に見えず音も聞こえないので、どういう通り道にすれば仕様通りの電波になるかを考える(想像する)のはとても難しいです。経験して分かったことですが、電波の設計というのは、半分理屈、半分直感で決まります。一言で言うと、アートの世界です笑。ですので、経験がモノを言います。
もちろん計測やシミュレーションにより、どんな電波が出るのかを知ることはできます。ただ、それに対しどう設計を変えればどのくらい良くなるのか、は式だけで計算できるものではありません。電波は音と同じく空気中を伝わっていくので、周りの空気状態によっていくらでも性質が変わってしまうからです。
そこに通信の「つ」の字も知らないで飛び込んだので、最初は電波って何?な状態であり、全く訳が分からなかったです。(自己紹介でも書きましたが、僕は大学時代、全然別の分野を専攻していました)更に典型的な理系人間なので、理屈で理解できないことはあまり得意ではありません。特にそれが仕事となるとなおさらです。
無線設計は、何か問題が起こった時に次のアクションを考えようにも、前述の通り半分はアートであり周囲の環境状態で性質が変わってしまうので、色々試しにやってみるくらいしか選択肢が無いのです。逆に言うと、なぜ上手くいったのかもよく分からない。結果、ずっと仕事に手応えを感じられず(目に見えないだけに)、最終的に、通信機器設計に苦手意識を感じるまでになってしまいました。
ですので、僕はスマホやルーターの設計をしている方を問答無用に尊敬します笑。
まとめ
長くなりましたので、最後にまとめておきます。僕が実感したエンジニアの大変さとして、以下3点を挙げました。
1. 求められる品質レベルが高い
2. 時間との戦いになる
3. 五感で感じられないものを扱う(場合もある)
エンジニアはこの辺りに常に気を遣いながら、忙しい毎日を過ごしています。
このように、お客さんは、何をやらなければならず、そんな中で何に悩みながら日々を過ごしているのか、具体的にイメージした上でコンサルすることが、信頼や成果に繋がります。僕らコンサルタントは、そこを意識し、少しでも楽に、そしてクリエイティブな仕事をしてもらえるよう、日々知恵を絞っています。
おまけ:祝20記事とSmart News掲載
最後におまけです。
まず、今回で記念すべき20記事達成です。おめでとう自分!先週まで風邪とインフルエンザで中断していましたが、無事再開できて良かった!
そして、追加で嬉しいことが。どうやら前回のマニアックな記事が、Smart Newsに載ったようです。(いわゆるスマニュー砲!)
結果、1日のアクセス数が普段の10〜100倍になり、初の3桁達成しました!(右端のバーを見て下さい)
※合計アクセス数の少なさに関しては、そっとしておいてあげて下さい笑
謎なのが、この記事以外にも少ないながらもSmart News経由でアクセスがあること。なぜ??Smart Newsには上記記事しか載っていないはずです。というか、そもそも記事自体見つけられなかったのですが。
あと、なぜSmart Newsに載ったのか調べてみたのですが、結果分かりませんでした。SNSで盛り上がったかというと無風状態ですし笑、ブログに掲載して数日経過後なので時間も経っています。・・・謎です。あと、これはよく言われていますが、掲載されたからと言って、特に読者数が増えたりはてなスターが付いたりという効果は無さそうです笑。
いずれにせよ、インフルで低下したモチベーションも、Smart Newsという幸運の女神様の思し召しでプラスになったので、引き続き頑張って更新を続けて行きます。
次なる目標は30記事です。皆様の反応を見て(というか前々から思っていましたが)、今後は今回のようなエンジニアの話よりも、もう少しコンサル寄りの記事を増やしていく予定です。
以上、今回はここまでです。また次回。
システムエンジニアとハードウェアエンジニアの違い
世の中には色々なエンジニアの方がいます。僕は前職でハードウェア(通信機器)の設計エンジニア(通称HWE。勝手に命名)をやっていました。
現職の業務コンサルでは、業務改革の支援を行った後、改革後の業務を実現するためにITシステムが必要な場合には、要件定義(※)を経て、業務システムの導入を行う場合があります。これをシステム導入フェーズと呼んでいますが、そこに僕ら業務コンサルがPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)(※)として残り、システムエンジニア(通称SE)と一緒に仕事をします。
たった2種類ではありますが、片や自身が経験し、片や一緒に仕事をした中で、同じエンジニアと言えど、扱う技術以外にも両者に違いがあることが分かりました。そこで今回は、SEとHWEの違いについて気付いた点をまとめます。(興味がある方がいるのか分かりませんが笑)
※要件定義、PMOって何?という方は、以下の記事で概要を紹介しています。
今回は、文章でつらつら書くより分かりやすいと思うので、表でまとめてみました。
もちろん細かくはもっと色々とあるのですが、ざっくり言えばこんな感じかなと。人物画でも書ければもっと分かりやすいのですが、如何せん絵心が無いのでお許し下さい。
まとめると、SEは経営視点やコミュニケーション、HWEは技術的視点や細かな作業が必要です。
注)一番下の行にある「たまに出る後ろ向きな口癖」を見て、「そんなん言わんわ!」と気分を害された方がいれば申し訳ありません。あくまで僕の勝手なイメージですので、そういう人もいるんや〜くらいに思っていただいて、さらっと流して下さい。
もしこれらエンジニアに興味がある方や、転職を考えられている方がいれば参考にしてみて下さい。
今回は、手短ですがここまでです。
では、また。
若手社会人にオススメする 仕事の成果を上げる本(随時更新)
今回は若手社会人にオススメのビジネス書を紹介します。
この5月から新入社員のOJTコーチをするのですが、教育カリキュラムの中に、いくつか課題図書を読んでその内容を要約してもらうものがあります。仕事に必要な知識を学んでもらうのはもちろん、物事を抽象化して要約する力を養うことも目的とし、毎年恒例の教育になっています。
このGW中に、何を読んでもらうかざっくり考えないとなーと思っていたのですが、ブログ記事として考える方がモチベーションになるので、こうして記事にしています笑。
教育で対象となる本は、基本的な仕事の考え方・仕事術系から、コンサル技法、専門的な業務の概要などと色々あるのですが、ブログでは、その中からどんな仕事でも使える汎用的な仕事の考え方・方法を学べる本を取り上げようと思います。僕がコンサル初心者の頃に実際に読んだ本ですので、主に若手社会人向けになります。(もちろん、そうでない方にも役立ちますし、全社会人向けに書かれた本も混ざっています)
随時更新形式で、思い出したら追加します。
目次
1. マインド・働き方
まずは働くことそのものに影響する、日々持つべきマインドや考え方に関して参考になる本です。
コンサル一年目が学ぶこと
そのものズバリ、コンサル初心者向けの本「コンサル一年目が学ぶこと」。コンサル初心者に限らず、若手社会人に必須の考え方が必要十分にまとまっている本です。まずはこれ1冊読んで実践するだけでも、仕事での成果の出しやすさが全然違います。
「結論から話す」「事実を元に話す」「自分の考えを持って情報にあたる」など、基本的で重要なポイントが簡潔に書かれています。今読み返しても「やっぱりこういう考え方をするから成果が上がるんよなぁ」と大事さを再認識できました。
コンサル初心者に「まずどの本を読めば良いですか?」と聞かれたら、僕はこれと答えます。
天職は寝て待て
若手の頃というのは、選択肢がたくさんある分、一度はキャリアについて悩むもの。特に仕事にも慣れておらず、挫折することも多いので、尚更そうです。他の仕事のこともよく分からない、でも分からないなりに憧れて隣の芝生が青く見える瞬間は必ずあるでしょう。
「この仕事は自分に向いているのか?」
「もっと他に楽しい仕事があるのではないか?」
そんな疑問が浮かんだ時に読んでもらいたい本です。
本書の主張は、「天職なんてものは後付けで、探すものではなく気づいたらそうなっているものだから、まずは目の前の仕事に打ち込んでみよう」です。
この主張については、僕もその通りと思っています。世の中はやったことがない仕事だらけなので、「天職」を探そうにも、やったことがないのだから、どれが「天職」なのか論理的に特定できません。であれば、少しでも興味のある仕事に飛び込んで、とりあえず一生懸命やってみるべきです。
「サンクコスト」と言って、人間は自分が時間・お金をかけたことを無駄にしたくないという心理が働きます。その結果、一生懸命やったものに自然に興味が向くようになります。つまり、やっているうちに自然と興味が湧き、好きになり、詳しくなり、気付いたら後からそれが「天職」になっている、ということなのだと理解しています。
もちろん、必ずしも目の前の仕事が全て「天職」になる訳ではありません。ですが、いずれにせよ「天職」は選び取るものではなく結果として決まってくるもの、ということを念頭に置き、まずは目の前の仕事に打ち込んでみてもらいたい、という想いでこの本を薦めます。
2. 問題解決法
仕事とはつまり問題解決すること。コンサルは問題解決支援の専門家なので、その考え方や方法について書かれた以下の本も必読です。
イシューからはじめよ
仕事における本質的なことが書かれた本です。
「イシュー」=「論点」なので、「イシューから始めよ」とはつまり、「何かを検討するとき、まずは論点は明確にすべし」ということです。
論点とは「議論すべき中心の問題点」です。何かを検討する際、往々にして論点を明確にしないままぬるっと進むことが多く、結論が出ず無駄な時間となってしまう、というのが著者の問題意識です。そうならないために、まずは論点を明確にし、それに対する仮説を立てた上で必要な作業を始めれば、結論に辿り着くまでの時間は100分の1(!)にできる、というのが主旨です。これは「フェルミ推定」で有名な、数学・物理学者のエンリコ・フェルミも実践していた考え方です。
この本の根底の思想は、「最小限の努力で最大限の成果を出す」ことだと僕は認識しています。つまり、究極の面倒くさがりのためのビジネス書です。
「イシュー」「論点」というと少し小難しそうな印象を受けますが、初めて触れる人にも取っ付きやすいように解説されています。また、前述したフェルミの言葉のように偉人の言葉も引用されていて、僕は地味に好きです。
メタ思考トレーニング
続いては、論点を考えることと同様に重要な、「メタ思考」の方法を解説した本をオススメに挙げます。
「メタ思考」とは、「抽象化する思考法」のことです。「メタ認知」という言葉がありますが、それと同じ「メタ」です。
物事を俯瞰して捉え、「要するに」「まとめると」どういうことなのかを考えるための方法です。細かな枝葉を削ぎ落として、本質を捉える思考と言っても良いです。
「Why型思考のトレーニング」「アナロジー思考のトレーニング」の2本立てで書かれています。それぞれ、なぜその思考法が大事なのか、どのように考えるのか、実践するとどんな感じなのか、が分かります。
コンサルはたとえ若手であっても、お客さんの管理職以上の方と議論する必要があります。管理職以上の方は実務を行うわけではなく、マネジメントがその仕事の中心です。これは言い換えると、彼らは皆、意識的、無意識問わず「メタ思考」をしているということです。その方々と同じ土俵で話す必要があるので、コンサルはこの思考法を必ず身に付けておく必要があります。また、相手を管理職以上の上司に置き換えると、若手社会人にも必須の思考法です。
個人的に「メタ思考」は難易度が高いと感じています。若手であるほど細かな作業を任せられることが多く、どうしても自分やその作業を俯瞰して考えるのが難しいからです。ですので、この本はつまづく度に何度も読み返してもらいたいです。
ここで紹介した2冊は、今でも定期的に読み返します。こういった思考法に関する本は、余程の天才でない限り1度読んだだけでは身に付かず、事あるごとに何度も読み返して初めて身に付くものと思っています。脳みその使い方を変えるわけなので、そんなすぐに身に付くはずもないですよね。
3. 資料作成術
3つ目は、実際に手を動かす時に必要な考え方・テクニックを学べる本です。若手の方にとっては、最も読み返すことになる本でしょう。
理科系の作文技術
「理科系の」と銘打ってはいますが、理科系に限らず、あらゆる文章を構造的・論理的に書く方法を指南する本です。大学時代、論文を書くために担当教官から教えてもらいました。
伝わる文章とするために、どう考え、どういう構造で書けば良いのか、が明確になります。詳しくは読んでいただきたいですが、「目的規定分を考える」「序論、本論、結論の順に書く」など、小手先のテクニックではなく、人に伝わる文章を書くためにどう考えるべきかが分かります。
とかく慣れていない人は、いきなり何となく資料を作り始めてしまいますが、そうではなく、まずはこの本に書かれていることを実践することが大切です。1981年に発売された本ですが、本質的なことが書かれており、今読んでも全く古くありません。一家に一冊、デスクに一冊置いておきたい本です。
ロジカル・プレゼンテーション
もう一つ、こちらも資料作成前に読んでおきたい本です。「理科系の作文技術」があらゆる文章の大枠や書き方の指南書だとすると、こちらはプレゼン資料の書き方に特化したものです。
各スライドをどう作れば人に読まれ、伝わる資料になるか、具体的なアドバイスが理由とともに書かれています。割とテクニック寄りの内容が書かれているので、即効性があります。例えば、「伝えたいメッセージを上に、その下にイメージを書く」「左上から右下に視線が流れるようにイメージを配置する」など。実践的ですよね?
僕は今でも、基本この本で書かれている通りに資料を作っています。
プレゼン資料作成術以外にも、その前段に必要な論理思考や仮説思考、会議設計方法などについても書かれています。プレゼンや提案をすることが多い方は、この本だけでも充分効果が得られるでしょう。
最後に
以上、特に若手社会人に役立つ6冊を紹介しました。冒頭にも書いた通り、汎用的な内容なので、若手の方以外でも、復習がてら読んでいただけるものを選んだつもりです。
今後、新入社員にオススメしてみて、反応を伺ってみたいと思います。教えながら、これも必要な本だなと思ったら、本記事を随時アップデートしていきます。
では、また。
コンサルして分かった消費財メーカーの特徴
今回は少しだけマニアックな話です。
僕はコンサルになってから、たまたま消費財メーカーと長くお仕事をしていました。そして、他業界のお客さんと比較してみて、消費財メーカーの特徴が見えてきました。普段目にする商品を作っているメーカーでイメージしやすいので、今回はその話をしようと思います。
ちなみに、消費財とは生活用品のことで、化粧品、バス・トイレタリー用品、食品などです。
普段買っている生活用品の裏で、メーカーがどんなことをしているのか、考えているのか、についてご紹介します。知っていただくことで、商品の見方が少し変わり、買い物や普段使うことがちょっと面白くなるかも知れません。
では、消費財メーカーの特徴を3つに分けて解説します。
目次
1. マーケティング・ブランディングが最重要
1つ目の特徴は、消費財メーカーではマーケティングやブランディングが最も重要視されているということです。他業界に比べ、その費用である広告宣伝費にかなりのお金をかけています。(統計データもあるので、気になる方は調べてみてください。)
マーケティングやブランディング戦略立案は、商品企画の一番最初のステップで行われます。市場調査やブランド・商品コンセプト設定、ターゲット設定などを行います。
僕は専門の人間ではないので詳しくはないのですが、市場調査では、様々な統計的手法を使い、お客さんはどんな人なのか?を具体的に調べます。その後、性別、年齢はもちろん、性格や価値観、生活習慣、人間関係など様々な観点でお客さんを分析し、具体的にこういう人をターゲットに商品を開発する、というのを決めて、ブランド・商品コンセプトやターゲットを設定します。具体的にというのは、想定するお客さんが実際に商品を使っているところをイメージするレベルです。
なぜ消費財メーカーがマーケティングに力を入れているのかというと、消費財はいわゆるBtoBの商品に比べ、お客さんのニーズが不明確だからだと想像します。わざわざメーカーの人に「こんな商品が欲しいです」と伝えてくれる消費者はいないですよね。
ブランディングで言えば、消費財メーカーは、自社や商品イメージの作り方がとても上手いです。設定したブランドコンセプトとターゲット顧客に基づき、どういう広告を打てば最も売上が上がるかを考えます。消費財は消費者の目に直接触れる商品なので、多くの場合、マスメディアがその手段になります。有名女優やモデルを起用したテレビCMをバンバン打ちます。いかに知ってもらうか、いかに良いブランドイメージを持ってもらうかで商品の売り上げが大きく変わるからです。
個人的に人間心理に興味があり、人がどう感じるか、どう思ってもらうかを考えるマーケティングやブランディングはとても面白そうで、奥が深そうだなと感じています。
あと、これらが重要なのはブログも同じで、どんな読者に向けて記事を書くのか?自分はどんな人間だと思われるべきか?をまず具体的にイメージするのが大事なんでしょうね。
2. 流行り廃りが激しい
2つ目の特徴は、商品の流行り廃りが激しい、サイクルが早い点です。これは外的環境、つまり消費者の興味・関心のサイクルが早くなっていることが影響しています。その背景には、ネットの普及によって情報の流通が早まったことが関係しているのでしょう。
商品の流行り廃りの激しさがどう業務に影響しているのかというと、最上流のマーケティングから発売までの期間が短くなっている、ということです。つまり、あらゆる業務を今までよりもスピーディーにこなさなければならなくなってきている、ということになります。他業界でもそうですが、消費財メーカーは特にその傾向が強いです。
また、世界各国のニーズにすぐに対応し発売できるよう、海外に商品開発拠点や工場を建てることが多いです。ただ最近は、日本製品の品質良さが海外から再評価されていて、工場をあえて国内に新設し、「Made in Japan」ブランドの商品を作ろうという流れが来ています。これは品質を良くすることももちろんですが、「Made in Japan」のイメージを持たせるためのブランディング戦略の側面の方が強いのではと考えています。工場新設はとてもお金がかかりますが、それ以上に売れる見通しがあるということです。海外の方の爆買い需要が大きいためです。
3. 自分の意見を持っている方が多い
3つ目は、働いている方々の特徴についてです。消費財メーカーは、世の中に無い新商品をどんどん発売していくという業界なので、受け身ではなく、積極的で自分の意見を持っている方が多い印象です。
誰と話しても、それぞれ皆さん自分の考えを持っています。常に考えておかないとなかなかそういう訳にもいかないので、素晴らしいことだと思います。
ですがその分、全員の意見を聞いて合意形成できる人が少ないと感じています。そこにコンサルの存在価値があるのですが。
ビジネスモデルが人の特徴にも現れるのは面白いですね。
まとめ
以上、消費財メーカーの特徴を3つ挙げてみました。
なお、これらはあくまで僕が感じた特徴ですので、一個人の意見として参考程度に見ていただければと思います。
今回は以上です。
それでは、また。